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ニューメキシコ州の魅惑的なI-25ロードトリップ

ルート 66ほど派手さはないかもしれませんが、I-25 はニューメキシコ州の隠れた魅力を満喫できる絶好のルートです。アメリカ合衆国南西部に位置するニューメキシコ州は、リオ・グランデ川流域に広がる広大な砂漠地帯や、ロッキー山脈の麓に連なる険しい山岳地帯など、変化に富んだ景観が特徴です. スペイン植民地時代の歴史とネイティブアメリカンの文化が融合した独自の文化を持ち、なかでもチリ [唐辛子] はニューメキシコ料理の代名詞として全国的に知られています [農林水産省 世界の食文化 ニューメキシコ料理].

I-25 はこのニューメキシコ州をほぼ一直線に南北に貫く全長およそ 730km の高速道路で、主要都市や見どころを効率的に巡ることができます。今回は、そんな I-25 を使ったロードトリップで訪れたい、おすすめのポイントをご紹介します。

1. ラトン (Raton)

旅程の始まりは、ニューメキシコ州最北東部に位置するラトン (Raton) から。標高約 2,000m の高地にあり、避暑地としても人気の町です。見どころは、やはり町を見下ろすようにそびえ立つラトン峠 (Raton Pass) でしょう。かつてはサンタ Fe へ向かう際の重要な関所として栄えた場所で、峠道には今も当時の面影を残すスイッチバックが残っています. また、ラトン博物館 (Raton Museum) では町の歴史やネイティブアメリカンの文化について知ることができ、ダウンタウンにはクラシカルなアメリカのダイナーやルート 66時代のモーテルなど、どこか懐かしい風景が広がります。

2. ラスベガス (Las Vegas)

ラトンから南下すること約 110km で、もう一つのラスベガス (Las Vegas) が登場します。こちらはネバダ州の煌びやかなカジノとは異なり、歴史ある街並みを残す落ち着いた佇まいです。町のシンボル的存在であるプラザ (Plaza) には、1882年に建てられた歴史ある「プラザ ホテル (Plaza Hotel)」をはじめ、土産物店やレストランなどが軒を連ねています。また、町の郊外には、16世紀に建てられたとされる「モンテズマ城 (Montezuma Castle)」があり、謎めいた歴史を秘めています。さらに少し足を延ばせば、自然保護区「ドーンライト保護区 (Dawn Light Sanctuary)」があり、バードウォッチングやハイキングが楽しめます。

3. サンタフェ (Santa Fe)

ニューメキシコ州の州都であるサンタフェ (Santa Fe) は、芸術と文化の街として知られています。街並みは特徴的な「アドビ建築」と呼ばれる土レンガ造りで、スペイン植民地時代の趣を感じさせます。中心部の「プラザ (Plaza)」は街の核となっており、その正面には「聖フランシスコ・デ・アシス大聖堂 (Cathedral Basilica of St. Francis of Assisi)」が建ち、荘厳な外観が目を引きます。また、世界的に有名なアメリカの女性画家、ジョージア・オキーフの作品を所蔵する「ジョージア・オキーフ美術館 (Georgia O’Keeffe Museum)」も見逃せません。

サンタフェには、芸術以外にも魅力が満載です。ダウンタウンにはネイティブアメリカンの手工芸品を扱うアーティストが多く、質の高いジュエリーや工芸品をお土産に購入することができます。また、少し郊外にある「サンタフェ・スキー場 (Santa Fe Ski Basin)」は、ウィンタースポーツを楽しむのに最適なスポットです。さらにユニークな体験を求めるなら、「ロレット礼拝堂 (Loretto Chapel)」を訪れてみましょう。らせん階段で知られるこの礼拝堂は、まるで空中を浮いているかのような不思議な構造となっており、建築上の謎としても有名です。家族連れの旅なら、インタラクティブな芸術体験ができるメオウ・ウルフ(Meow Wolf)もお勧めです

4. アルバカーキ (Albuquerque)

サンタフェからさらに南下すること約 60km で、ニューメキシコ州最大の都市、アルバカーキ (Albuquerque) に到着します。活気あふれるダウンタウンには、ニューメキシコの歴史や文化を伝える博物館や美術館が立ち並びます。中でも有名なのが「インディアン・プエブロ文化センター (Indian Pueblo Cultural Center)」で、州内に19あるプエブロ族 [インディアン部族のひとつ] の歴史、文化、生活様式などを紹介しています。また、10月に開催される世界最大級の熱気球の祭典「アルバカーキ国際バルーン・フェスティバル (Albuquerque International Balloon Fiesta)」の会場としても有名です。

アルバカーキのもう一つの見どころは、街の西部にそびえる「サンディア山脈 (Sandia Mountains)」です。ロープウェイ「サンディア・ピーク・トラムウェイ (Sandia Peak Tramway)」に乗って山頂へ向かえば、アルバカーキの街を一望するパノラマを堪能できます。夕暮れ時には山々と街並みが赤く染まる景色は格別です。

アルバカーキを訪れたら、Farmers Chile Marketでチリ三昧を楽しみませんか? ニューメキシコ州を旅するなら、チリの焙煎所はぜひとも訪れたい場所です。ここでは、新鮮なチリ、ローストチリ、乾燥チリ、チリで作られたリストラ(ristra)ほか、様々なお土産が見つかるはずです。

5. ソコロ地域 (Socorro Area)

アルバカーキから南へ約 120km。緑豊かなリオ・グランデ川の流域にソコロ、レミター、サンアントニオといった町があります。この地域はハッチに次ぐ、ニューメキシコで第2位のチリ産地です。サンアントニオの「スネークランチ農場 (Snake Ranch Farm)」には、収穫時期になると直売所がオープンし、新鮮な生チリを購入することができます。ニューメキシコ屈指の理工系大学「ニューメキシコ工科大学 (New Mexico Tech)」があるソコロの町では、「地質学博物館 (Geology Museum)」がおすすめです。ニューメキシコ州を中心とした豊かな鉱物標本が展示されており、無料で入場可能なのも嬉しいポイントです。

6. トゥルース・オア・コンシクエンシズ (Truth or Consequences)

長くてユニークな名前でおなじみのトゥルース・オア・コンシクエンシズ (Truth or Consequences)。もとは「ホットスプリングス (Hot Springs)」という名でしたが、1950年に同名のラジオクイズ番組を街で収録したことをきっかけに、現在の名前に改名されたという経歴を持ちます。その名のとおり、天然温泉が湧き出る保養地としても有名で、町の至るところに温泉施設が点在しています。ダウンタウンはこぢんまりとしてレトロなムードが漂いますが、近年ではアーティストが移り住むなど、新しい魅力が芽生えつつもあります。そして、地元の醸造所、トゥルース・オア・コンシクエンシズ・ブリューイング・カンパニーのビールは格別です。

7. ハッチ (Hatch)

トゥルース・オア・コンシクエンシズから南に約 90km進むと、「世界一のチリ産地」としてその名を轟かせるハッチの町に到着です。ニューメキシコ料理の要であるチリは、その種類や辛さ、風味などが産地によって異なるのが特徴。中でもハッチ産のチリは格別の美味しさで、お土産にはもちろん、町中のレストランでも思う存分堪能することができます。また、毎年8月下旬から9月上旬には「ハッチ・チリ・フェスティバル (Hatch Chile Festival)」が開催され、チリをテーマにしたさまざまなイベントで賑わいます。なかでも名物イベントが「チリ女王コンテスト」で、ニューメキシコ州中から女性たちが参加します。ニューメキシコ州で最も有名なグリーンチリチーズバーガーの一つを提供するSparky’sをお見逃しなく。

8. ラスクルーセス (Las Cruces)

ニューメキシコ州で2番目に大きな都市、ラスクルーセス (Las Cruces) は I-25 ロードトリップの終点にふさわしい町。町の中心部には古くから交易の拠点として栄えた「オールド・メシーヤ・プラザ (Old Mesilla Plaza)」があり、歴史ある建築群や工芸品店などが集まっています。また郊外に広がるのは、どこまでも続く白い砂漠「ホワイトサンズ国定公園 (White Sands National Park)」です。真っ白な砂漠は石膏でできており、幻想的な景観が広がります。さらに足を延ばせば、標高約 2,800m の「オルガンマウンテンズ (Organ Mountains)」(オルガン山脈)が天を突くようにそびえ立ち、ハイキングトレイルが整備されているなど、アウトドア好きにも嬉しい環境です。チリ関連なら、ニューイヤーに行われる毎年恒例のチリドロップは必見!

ニューメキシコ州の旅はまだまだ続く!

I-25 を中心にした今回のロードトリップは、ニューメキシコ州のごく一部を紹介したにすぎません。アメリカの古い時代の面影や他では見られない独特な自然景観、そしてネイティブアメリカンやヒスパニック文化など、ニューメキシコにはまだまだ多くの魅力が眠っています。ぜひ、次の旅の計画を練りながら、今回のロードトリップの思い出に浸ってみてください。